メールでスキルアップ相談「そうだんくん」Q&A紹介

Q17. 「雑型」(ざつがた)とは何でしょうか?
試作型における「雑型」の概要を教えてください。

自動車部品メーカー就業中の方より
A17.ご相談にお答えします。
ご就業中の配属先はもともとバネの開発・製造の専門企業でしたが、今ではクルマのシートなどにも業容を拡大しているようですね。そこで現在カーシート関係の開発設計に従事されていることと思います。
部品を大量生産する場合は、本格的な金型を起して数万回を超えて使用しても金型の寿命がこないような作りかた(金型の材料選定、熱処理方法、メス型オス型の寸法精度等)を講じます。この場合は、非常にコストの高い金型になり1ケあたりの製品価格に大きく影響します。反面、試作の段階では部品の仕様が十分固まっていないこともありますので数個しか作らない場合は金型でなく部品を手作りして試作するのが一般的です。このあと、さらに数百個単位の試作品を作成して製品の評価試験を行いますが、この段階では簡易金型を作成します。この金型は耐久性はさほど必要はありませんので金型の製造コストは安くて済みます。
さて「雑型」の件ですが、上記のように金型には精度や耐久性の高い超精密金型をはじめ、とりあえず部品の形が整えば十分といった簡易金型まで幅広く存在します。ご質問の「雑型」とは後者の、耐久性は低いが低コストな簡易的金型のことを指しています。いずれも「もの」を複製する手法という意味では共通するのですが、製品開発のステップや目的に応じて使い分けられているということです。ただ、雑型のみの設計や加工をしていたのでは技術の向上に結びつきませんから、量産用の精密金型の設計も是非なさってください。