メールでスキルアップ相談「そうだんくん」Q&A紹介

Q2. 初めて医薬の有機合成を担当することになりましたが、知識・スキルがないために作業内容がよくわかりません。どうしたらよいでしょうか?
現在の仕事で、初めて医薬の有機合成を担当しているのですが、知識がなく、実際におこなっている作業の内容がよくわかりません。機械の仕組みもわからないまま操作しています。今後に活かせるためにも、理解しながら仕事をすすめたいと思うのですが、何をすればいいのかわかりません。社員の方は忙しく、声をかけづらい雰囲気です。アドバイスをよろしくお願いします。

化学メーカー就業中の方より
A2.ご相談にお答えします。
周りの人は過去に数年、あるいは十何年も同じ研究をやってるのに、こちらはいきなり配属されて途方にくれてしまったという経験を私も持っています。このようなときに大事なのは、わからなければ周りの人に素直に聞くこということです。声をかけづらいという気持ちはよくわかりますが、自分ひとりで解決しようとしてもあまり前進しないはずです。最初は抵抗もありますが慣れればどんどん聞けるようになります。そのためには周りの人と良好なコミュニケーションを持つことです。重要なのは現在の職場で必要な技術と理論、そして情報を十分にかつ迅速にご自身のものとすることです。どんどん周りの人たちの技術、情報、理論や考え方を身につけていってくださいね。
むしろ怖いのは、充分聞かずに実行した結果、安全上取り返しのつかないことになってしまうことです。また医薬開発では、化学反応の暴走などで反応を制御できなくなって爆発や突沸を引き起こすことがあります。そうなった場合には、自分のみならず他人にまで危険が及んでしまいます。ですから自分のわからないところはこの分野では特に先人に教えてもらうということが重要になります。
また化学研究で用いる機械・器具も日進月歩です。特に医薬関連の研究室では、研究の効率化、迅速化を図るために最新の機器類をそろえる場合が多いです。そして最新の機械ほどコンピューター化が進み、新参者にはなかなか扱いづらいことになります。リーダー、そして聞きやすい人にどんどん聞くチャンスを持ちましょう。聞いてある程度納得いけば徐々にその分野からスタートしていけばいいと思います。遅くとも着実に機械の操作、仕組み、安全面、医薬合成の勉強などをしていただき、またひいては同じ研究室にいる人たちについての情報や意見を聞いたりして自らのスキルアップを図っていかれることを切に希望いたします。それが何にも代えがたい無形の財産となるはずです。
もし有機化学の基礎から学習してみたいとお考えでしたら「図解雑学有機化学のしくみ」(ナツメ社)をお薦めします。基礎的な図解とわかりやすい解説で非常に興味深く読みやすい本です。ちなみにこの本はオフィス(テクニカルセンター)に設置してありますので貸し出し可能です(気軽に声をかけてください)。このような本を基礎にしてお仕事の会話に使用していただければ研究室の人たちとのコミュニケーションも徐々に開けると思います。