メールでスキルアップ相談「そうだんくん」Q&A紹介
Q33. 品質検査のスキルを高めるための書籍などがあれば教えてください。
現在は自動車部品の品質検査(試作品の性能検査等)を行っております。今年の初めの頃にスキルアップシートを使った面談などで目標設定をしました。私は現在の検査業務を極めるという設定をしたのですが、どの様なことを勉強すれば役に立つのかなどがよくわかりません(私自身がそのような業務に向いているのか、自分でも良くわかっていないので勉強の方針を立てるのが難しいのかもしれませんが。)。
現在、検査機器は流量計、圧力計、デジタルオシロスコープ、シックネスダイヤルゲージ、外径マイクロメータ、ノギス、小口径シリンダーゲージ、電圧・電流・抵抗計、輪郭形状測定機、表面粗さ測定機を使用しています。それ以外では、デジタルマイクロスコープを使用しています。
資格や本などスキルアップになるような情報があれば教えていただきたいです。
自動車部品メーカー就業中の方より
A33.ご相談にお答えします。
前職は、生産設備の設計を経験し、その後生産技術業務を経験し合計32年間設計系の現場で過ごしました。この中で電気的な測定器や機械系の測定器及び測定装置、評価装置等幅広く扱ってきました。
自己開発目標として「検査業務を極める」と決めてその努力をされるとのこと、是非応援させて頂きたいと思います。
電子専門学校出身ですのでどちらかというと電気系がベースの知識やスキルとしてお持ちの事とおもいます。ここで少し基本的なことをお話します。
そもそも検査は何のために行なうのか?…ですが、それは、
①製造した品物が、設計通りにできているか?
②実際に量産した時に良い設計になっているのか?
③突発的に工程に異常が発生しないか?
④経時的な製品の変化が発生していないか?
⑤複数ある同一機能の検査設備の機差は発生していないか?
等々、目的は広範囲に及びます。
測定装置を使いこなすことは非常に重要なことです。
しかし、これはあくまでもツールであって、そこから得られたデーターをどのように活用するかがさらに重要です。さまざまな試験装置を使いこなすことは業務内でのニーズがないとなかなか触るチャンスが少ないと思いますのでそのチャンスを見逃さないで積極的にその業務を行なう姿勢が重要になります。
その際、
①被測定物の特性を充分理解してなぜその項目を測定や検査をするのか?
②測定器はどんな原理で結果を出しているのか?
−−−完璧である必要はありません。
③データーの再現性が測定データーのどの桁まであるのか?
−−−測定分解能が要求桁数に合わない場合は検査装置の設定が合ってないか、
被測定物が不安定か見極める判断力が必要です。
④データーをどのように纏めるのか?
−−−表にすればよいのか?グラフにするのか?プレゼン資料にするのか?、
考察まで添付するのか?等
⑤測定環境は適切か?
等々、いろいろ考えることがあります。
全ての測定器を触るのはなかなかチャンスが無いと思いますが、前記に書いたようにデータの纏め方とかプレゼンの仕方等、座学で勉強できる事は日々たくさんありそうです。ExcelやWord、PowerPoint等を勉強すると良いと思います。検査や測定の業務前に、その目的をしっかり理解して何を求められているのかを考えて取り組む姿勢が一番大事な事と思います。
①データーの纏め方の勉強方法ですが、「eランくん」の【コース詳細】Microsoft Word, Excel, Powerpointをご利用いただくのも宜しいかと思います。
②品質管理の関係では、
「通信教育講座」No.95の「品質管理「基本のキ」」も良いと思います。
③ある程度品質についての基礎やデーターの纏め方に自信がついたら
●もう一度電気の原理から紐解いて装置や試験機の原理的な理解を深めてください。
●知識や業務の幅を広げる意味で機械的な機械図面の詳細な理解や材料の知識も深めてください。
「検査を極める」事に留まらず「品質管理」及び「品質保証」のスペシャリストの道を歩んでください。
あせらずに一歩.一歩着実に。今後もご活躍を応援させて頂きます。